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まちサポくさつ (公財)草津市コミュニティ事業団

団体インタビュー

目配り、心配りの見守りで高齢者が元気!

宅老所あおばなの家

昼間独居のまち

あおばなの家1  木川町で高齢者のサロン活動「宅老所あおばなの家」をしています。十数年前、JA女性部で介護のお話を聞き「介護予防のために自分たちも何かできないか」と考えたことがきっかけでした。木川には高齢者がたくさんいます。二世代、三世代同居の家庭が多いのですが、一緒に暮らす家族は仕事や学校があって、おじいちゃんやおばあちゃんが留守番です。「昼間独居」とでも言うんですかね。出かけることも、話し相手もいない。話し相手がいたって毎日、よその家には行きにくいですしね。それに介護の必要な身になると病院やグループホームなど知らない土地で過ごすこともあって、さぞや寂しいだろうなって気持ちもありました。またそれは、自分たちの将来の姿でもあります。
 「住み慣れた木川でずっと元気に暮らしたい」「地域の人は地域で支えたい」「自分たちの将来の居場所をつくりたい」…色んな思いが交差して、地域の高齢者をお世話するボランティア活動を始めました。ボランティアのメンバーは女性ばかりで、生まれ育った者も、嫁いできた人もいるけど全員、木川の住民です。

最高齢はなんと100歳!

あおばなの家2  今年で10年目を迎えました。最初は木川に住む70歳以上の独居老人と80歳以上の方に「一緒にお昼を食べて楽しく過ごしましょう」と呼びかけて17人の高齢者が来てくれました。中には明治42年生まれの方もいて、この方は今年100歳で今でも楽しみに参加してくれます。ただ高齢者が増えて場所が手狭になってきて、今は対象を80歳以上にさせてもらってます。80歳になるのを楽しみにしている人もいるんですよ。
 10人で始めたスタッフメンバーも3人増えました。少し平均年齢が下がりました(笑)。これまで誰一人、辞めずに来れたのは、ここに来ることが何より楽しいこと、そしてメンバー同士、何でも相談しあえる仲間としての絆をつくってきたから。ひょっとすると参加者以上にメンバーが活動を楽しんでるのかもしれません。いつも、おじいちゃん、おばあちゃんから元気をもらってます。

家族にだって遠慮はある

あおばなの家3  活動は月に2回しています。2週間に1回のペースは参加する人、お世話する人、双方にとって無理のないペース、みんなが「次」を楽しみに待てる間隔だと思います。第2水曜は「お誕生日会」、午前中ケーキを食べながらおしゃべりで過ごします。第4水曜はおしゃべりや、簡単な手仕事などをしてから、みんなで昼食を食べます。もちろん昼食は私たちが作って用意するのですが、参加する高齢者からもお米や野菜、自家製の漬物などの差し入れがあることも。時には私たちが教えてもらったりして、お世話する人・される人が逆転です。そうそう会費の徴収も参加者が自然としてくれてます。
 また時には活動場所の木川農業会館から出て、ホテルでの食事会やバス遠足なんかもします。ホテルでの食事会では、少しだけお酒も出すのでこの時だけ参加するおじいちゃんもいます(笑)。バス遠足は参加者も含めてみんなで行き先を考えるんです。宇治の平等院に行ったり、草津をグルグル回って立命館大学に行ったり、「開通したての第二名神を見たいから」とのリクエストにお応えして土山にも行きました。遠慮して家族に言いにくいことも、ここでは自由です。

参加者をお客さんにしない

あおばなの家4  みんなで簡単な手仕事をしていると、「地域の皆さんにも作品を見てほしいな」と盛り上がり、数年前から秋に文化祭を始めました。このときは参加する高齢者の作品だけでなく、地域の人にも出展を呼びかけています。準備の時期になると高齢者に文化祭で何をするのか話し合ってもらっている。私たちはあくまでお手伝い。すると受付・販売・作品の見守りなど全員に役割があてられるんです。高齢者は役割ができると責任を持って、むしろ張りきってくれるんですよ。
 特に難しいことをしているわけじゃない。高齢者もメンバーもみんなでつくり、教えあい、食事をして共に過ごすだけ。肩ひじ張らず、自然の流れで人生の先輩たちと触れ合っていきたいですね。そのために参加者をお客様扱いせず、キャッチボールのできる関係づくりを心がけてます。
 スタッフ側も、いつ新しいメンバーが来てくれても今までの活動が分かるように記録を残すように心掛けています。食事のメニュー、手仕事の作品、新聞の記事…。食事の献立や作品づくりも季節感を意識しながら工夫して喜んでもらってます。

活動日はおしゃれして

あおばなの家5  参加者の中にはカレンダーに丸を付け活動日を楽しみにしてくれてる人もいるそうです。近所で出会うと「あおばな(の家)でお世話になって、ありがとう」とみなさん声をかけてくれます。活動では近所の保育園の子どもたちや小学生との交流でゲームや食事をするのですが、今まで食べなかったカレーを食べるようになった人もいて、家族が驚いていました。80にして好き嫌い克服です(笑)。
 先ほどの100歳のおばあちゃんは、活動日の前には美容院に行き、おしゃれをして来てくれます。素敵なことですよね。「人に出会う」「見ている人、褒めてくれる人がいる」というのは大切なことなんだとあらためて実感しますね。おじいちゃん、おばあちゃん一人ひとりの存在を認めてあう。高齢者だからこそ年寄り扱いせず、自尊心を傷つけないようにしています。そうすると本当に素敵な笑顔で応えてくれるんですよ。
 また、木川でも地元に伝わる料理をできる人が少なくなっています。そこで参加する高齢者や仲間のメンバーから「草木だんご」や「押し寿司」を教えてもらうこともあります。みんなで一緒になって知ってることを教え合ったり勉強したり。いま思うように動くことができる私たちも、年を重ねると不自由なことも出てくる。だから来てくれる高齢者の姿は自分たちの通る道、良いお手本にしたいですよね。

 木川は高齢者世帯の親戚・近所付き合いが今も続いているところです。病院通いや買い物などでも隣近所で声をかけあえるところ。みんなが目配り、心配りしながら見守りあえているところなんです。それは私たちの活動を地域が温かく支援してくれているところからも感じます。町内の理解と協力があってこその活動だと皆さんに感謝。 【2010年10月取材】

地域の主婦を中心としたメンバーが地域の80歳以上の高齢者と70才以上の独居老人を対象に宅老所を運営。

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