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まちサポくさつ (公財)草津市コミュニティ事業団

団体インタビュー

図書館の舞台裏

二井治美さん (草津市立図書館 司書)

司書のオシゴト

図書館1  図書館の中をよ~く観察してください。カウンターで本の貸出し・返却受付け・貸出しカードの作成をしている人、返却された本を所定の位置に返したり整理したりするのに書架の間を忙しく動き回っている人、ニコニコしながら子どもたちの話し相手をしている人、利用者から何やら言われている人、これみ~んな司書さんです。
 でも私たちが日ごろ目にするこんな光景は司書の仕事のほんの一部。この他に大変な仕事がたくさん隠れていることを知りました。

その本がもつ「情報の価値」を見極める

図書館2 まずは司書の最も大事な仕事と言われる「選書」。業者から毎日のように持ち込まれる大量の本の中から図書館としてどれを購入するかを決めるのですが、選書次第で図書館の特徴や傾向を変えることにも成りかねないので最も神経を使う作業となります。
時には出版社や卸業者から送られてくる一覧表を参考にすることもありますが、基本的には実物を手にとってパラパラとめくりながら丁寧に決めていきます。選書基準、利用者の声、新聞などの書評や関係団体の意、他の図書館の所蔵数、そして限られた予算…本のプロ「司書」の腕の見せ所です。もちろん利用者からのリクエストを優先しますが全てを購入できるものではありません。

 選書ばかりしてると図書館はパンクしてしまいますね。当然、役目を終えた本から処分していく作業も必要です。ポイントはその本がもつ「情報の価値」。情報価値を早く終える雑誌は2年で破棄、新聞も近隣の図書館と役回りをきめ、市立図書館では京都新聞だけを永久保存です。
 苦労するのは一般の本です。ボロボロになったからすぐ処分というわけにはいきません。万一その本を読みたい人がいたときに手にできるように、近くの図書館は勿論、県立や国立図書館にまで在庫の有無を確認しなければならない時もあります。単純に情報の価値と言っても、価値は人それぞれ違うから難しいんですね。

ニッコリ笑って…それ、ダッシュ

図書館3  私たちが手にとって本を選ぶことができる書架は「開架」と言われます。ここには話題の本やリクエストの多い本、司書さんが読んでもらいたい本など約 万冊が収納されています。図書館にはそれ以外に閉架と呼ばれる書庫があります。開架が図書館の表舞台とすると、ここは言わばバックヤード。開架に並ばない約 万冊もの本を3か所に分けて収納されています。
 開架に無い本をリクエストした時、カウンターで「しばらくお待ち下さい」と言われた次の瞬間、司書さんはこの閉架にダッシュです。階段を駆け上がり、書架から本を取出し、また駆け下り、ニッコリと「お待ちどうさまでした」と言う時の司書さんの心臓はバクバクしているとか。

 図書館は私たちのまちにもやってきます、そう移動図書館のわかくさ号です。この日は休館日だったこともあってわかくさ号もゆっくりとお休み。「求められる本の提供、児童サービスそして全域サービスを三大目標に、毎週2000冊の本を担いで図書館から遠い所を巡回しているんだ!」とわかくさ号は胸を張って言いました。「皆さんのリクエストや顔を思い浮かべながら2週間に一度、本の入れ替えをしてるんですよ」と、わかくさ号を労わりながら二井さん。

人と本をつなぐ橋渡し

 司書さんの仕事について少しわかってきたところで「司書さんって、いったい何をする人たちなんですか?」と二井さんにズバリ質問です。「一言で言うと市民と本との出会いの場である図書館を通して、人と本とを結びつける橋渡しをする。これが司書なんですよ」と優しく二井さん。「うん?判ったような気もするけど…」。二井さんは続けます。「本の選書から購入、処分に至るまで本の管理は当然だけど、調査のお手伝い、他の図書館との連携、図書館の広報、イベントに関する企画や実行そして予算まで、要は図書館に関する全ての仕事です」。

 なるほど、では苦労話は?「意外に手間の掛かるのが消すのに3時間もかかるようないたずら書きや汚されたり破り取られた本の補修なんです。注意書きをベタベタ貼るのは、本を大事に扱って頂いている大多数の皆さんに大変失礼ですし…」と大変お困りの様子。
 また私たち一人ひとりの関心や趣味も違うことから、それらに関する様々な本の問合せに応じるのも大切な仕事です。二井さんは言います。「だから司書は自分の専門分野に関する知識以外に、地域性を持った情報や世の中の関心事など浅くても良いから広く情報をもっておくこと。常にアンテナを張っておくことが必要なんです。こんな図書館の仕事を 名の職員で頑張っているんですよ。」と二井さんは厳しい表情でおっしゃいました。  

 で、最後に二井さんに一言だけいただきました。「司書さんって、やっぱり家で本をいっぱい読んでるんですか?」「私も司書として『紺屋の白袴』にならないように毎月5~10冊の本は読んでいます(笑)」

図書館こぼれ話

 二井さんはお忙しい中、たくさんのお話をしてくれました。とても楽しかったので「こぼれ話」をご紹介。

○オミマイ! オーミマイ!
 他県の図書館司書が来たときのこと。「オミマイについて書かれている本ありますか」と尋ねる子どもに「お見舞い?どんなことが知りたいの」と二井さん。よ~く聞いたら「近江米」だったんですよ。ついでにその図書館司書は「なんだお米のこと。てっきり近江舞って踊りかと思っちゃった」ってオチまでつきました。

○本の棚卸ダイエット
  年に一度の仕事ではありますが、機械化されているとはいえ、30万冊もの本の点検(棚卸し)は大変で力も気も使います。この作業で体重が4kg痩せたことだってありました。…判ります。(でも点検後は元に戻ったようです。)

○司書の仕事って
 健康診断の問診表で仕事の内容を書込む欄があって「デスクワーク」「立ち仕事」「力仕事」「接客業」…司書ってすべてに当てはまって、どれにしようかと迷いました。

○赤ちゃんだって
 赤ちゃんにも貸し出しカードを作ってもらいます。小さい子が多くの本の中から自分の好きな本を自分のカードで借りにくる時の嬉しそうな顔。忘れられません。本って小さい子から高齢者まで全市民に関わりが。こんな幅広い層に利用してもらえる図書館に誇りをもっています。

草津市草津町1547
TEL 077-565-1818/FAX 077-565-0903
開館日 (火~金)10時~18時 (土・日)10時~17時


【草津市立南草津図書館】(南館)

草津市野路一丁目15番5号(フェリエ南草津5階)
TEL 077-567-0373/FAX 077-567-2357
開館日 (火~日) 9時~21時

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