RSS通信

まちサポくさつ (公財)草津市コミュニティ事業団

団体インタビュー

スポーツから伝えたいこと ~草津市スポーツ少年団

前島昭憲さん(草津市スポーツ少年団本部委員)

野球の奥にあるもの

少年野球1  山田少年野球の顧問の前島昭憲さんは草津市スポーツ少年団本部委員長でもあります。現在、市内のスポーツ少年団は8競技37団体、市内の小学生の10人に一人*がスポ少でスポーツに打ち込んでいます。そのうち14団体と最も多い競技が野球です。
さて、前島さんがわが子の入団を機に野球を教え始めたのはなんと40年前。そのころのチーム数は20チームあったとか。ちなみに40年前(昭和51年)のプロ野球界では王選手が本塁打王に、阪急の山田投手が最優秀ピッチャーに、阪神では田淵や掛布が活躍した年。子どもたちの野球熱も高かったのかもしれませんね。

少年野球2  さて前島さんの目に最近の子どもたちはどのように映るのでしょうか。
 「時代もありますが、私たちの子どものころはボールもバットも今のように道具が十分じゃなかったんです。野球がしたくても家庭の事情でできない子もいました。藪に入ってしまったボールを見つかるまで探すなんて当たり前だった。
今の子どもたちは道具があって当たり前ってところがあるんですよ。野球を教える前に“道具を大切にしよう”“野球をさせてもらえる環境や親御さんに感謝しよう”って気持ちを伝えています。だから『おはようございます』『ありがとうございます』と挨拶や礼儀を当たり前にできないといけない。それって野球の上達以上に大切なことです。」

変わったこと・変わらないこと

ボール  話は続きます。「兄弟のいる子が減ったのかなぁ。ケンカの加減や下級生への接し方がわからない子が増えました。ずっと前だけど、デッドボールを受けてヘルメットをピッチャーに投げつけた子がいてね。その場できつく叱ったことがありました。そしたらグラウンドから飛び出していっちゃって、叱った私の方がビックリ。後で聞くと、その子は親御さんにも先生にも叱られたことがなかったそうです。叱られることに慣れていなかったんですね。昔は近所に叱ってくれる大人もたくさんいたから。
でも今も昔も変わらないことがあります。それはみんな野球が好きってこと。学校では手におえないと聞く子だって、スポ少ではまったくそんなことは感じられない。きっと野球が楽しくてしかたないんですね。」

40年。続けてきた理由

少年野球3  それにしても40年はすごい。スポ少の指導者って土日もほぼ潰して、ボランティアで地域の子どもたちを見つめ続ける姿に本当に頭が下がる思いです。家族の理解も必要でしょう。地域のため、子どもたちのために続けてきた理由を聞いてみました。
「まずは野球が好きってこと。それと子どもたちの成長する姿から私自身が力をもらい、助けてもらっているんです。出身の子どもが高校野球で甲子園にでるんだと伝えにきてくれて、応援にかけつけたこともあります。あの子たちが野球を続け、活躍してくれていると嬉しいものです。実はね、今指導してくれている監督も私が一番厳しかったころの教え子なんですよ。」

前島さん  前島さんの夢にゲームセットはありません。「小学生の間は心と体をつくること、そして基礎を身につけることがその後の子どもたちの成長にとって大切だと思っています。いつか野球を辞めることがあっても、どんなスポーツでも楽しめる大人になってほしい。あとスポ少って、実はスポーツを通じて地域づくりに貢献していくことも大切な目的なんです。だからチームとしても、もっともっと地域に溶け込んでいかないといけないし、地域の方にもどんどん関わってもらいたい。親御さんでも地域の皆さんでもできることがあれば関わってもらいたい。陸上経験があったなら走り方を教えてやってほしい。そうして、子どもたちがスポーツを通じて地域とかかわり、チームも地域の誇りとなっていく。そんなスポ少に向かっていけたら良いですね。」


* 平成27年度の市内の小学生7,715人(草津市統計書)に対し749人(滋賀県スポーツ少年団要覧)。9.7%の児童が加入。

取材・掲載

コミュニティくさつ110号 2016.9月
「その笑顔、まちの未来。」より

前のページに戻る