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まちサポくさつ (公財)草津市コミュニティ事業団

団体インタビュー

さて、昼食会のご案内です。

ボランティアグループ「泉」 藤田清子さん 垣根和子さん

大きな開発

藤田さん  志津南地区にある若草は緑豊かな街並みが静かに広がる住宅街。昭和58年から分譲が始まり、今では約900世帯が暮らす大きなまちです。分譲当初はプールやゴルフ練習場もあって、若い家族で賑わっていたとか。
 それから約40年。プールではしゃいだ子どもは巣立ち、ゴルフを練習していたお父さんも定年を迎えました。高齢化が進むまち。連れ合いを亡くしひとり暮らしとなった人、家族が仕事に出かける昼間は一人で家に居る高齢者も増えてきました。そんな高齢者に月に一回の昼食会を提供するのが地元の主婦によるボランティアグループ「泉」です。

心を配る

垣根さん  対象となる高齢者には毎月、案内状が届きます。この案内状、単に日時を知らせるだけでなく、季節の移り変わりや世間の話題を織り交ぜた短い手紙と可愛い挿絵が添えられ、なんとも心温まります。
 これをメンバーが一人ひとり訪問して手渡します。「この案内が届くのが楽しみ」という参加者も多くて、中にはこれまでの案内状をすべて残している人もいるとか。

 昼食会に出すのは手作りの松花堂弁当。仕切られた弁当箱の中には栄養バランスや彩り、旬の味覚や季節感だけでなく、高齢者でも食べやすいよう細かく、柔らかいものを、と食材や調理の仕方まで心配りが盛りだくさん。参加する高齢者が身づくろいして来るほど楽しみにしているのも納得です。

あ・うんの呼吸

調理中  この日、志津南まちづくりセンターの調理室に集まったのは「泉」のメンバーとボランティアの13名。2時間半で約50食分を用意します。
 本日の献立を伝え、藤田さんの色鉛筆画で盛り付けイメージを共有すると、誰が指示するわけでもなく自然と分担しながら、手際よく作業が進みます。
 「どっちの皿が美味しそうに見える?」「手の空いた人からコーヒー飲んでや?」、和気あいあいとメンバー自身が楽しんでいる様子が印象的です。
 この昼食会、かれこれ約30年、回数にして250回以上も続く活動となりました。なるほど、この積み重ねが「あ・うんの呼吸」を生み出しているのですね。

ボラでつながる

調理中2  全国から一斉に人が移り住んできた若草。当然、知らない人ばかりです。昭和62年、友だちづくりのような感覚で40代の女性4?5人が集まりました。「知らない住民同士がつながれる何かを始めよう」。今の時代なら、カルチャースクールやスポーツなどに目が向きそうなものですが、彼女たちが始めたのはボランティアでした。
 「若草の各戸に当時、設置されていたケーブルテレビで呼びかけると約20人に増えました。当時はまだ専業主婦が多く、家事以外にも何かしたいと思っている主婦が集まりました。近くに障がい者施設や高齢者施設があって、イベントの手伝いや手芸などの縫物、茶話会、障がいをもつ子どものプール介助、高齢者や障がい者のための自助具づくりなど、色々な活動をしました」と垣根さん。泉」が施設から求められる様々なボランティア活動の受け皿となり、それぞれ独立したグループになっていきました。

呼び戻した記憶

昼食会案内状  「泉」が設立当初から大切に続けている活動がもう一つ。「高齢者ふれあいバスツアー」です。観音の里(長浜市)に行ったこの春のこと。東北から若草に移り住んだ90歳近くの方が、若いころに読んだ井上靖の小説「星と祭」の舞台となった地を訪れることができたことに感動し、すでに絶版となっているこの小説を図書館から取り寄せて、読み直しているとか。「若いころの記憶と気力を呼び戻してくれたのが嬉しくて」と垣根さん。

 「無理なく楽しく笑顔で」とコツコツ続けてきた活動。縁あって
同じまちに住むことになった同じ年代の主婦たちの「ママ友」ならぬ「ボラ友」つながりも気がつけば30年近くになりました。メンバーはそれぞれ忙しく、「泉」の活動の時だけ集まる程よい距離感も長続きするコツだとか。「今の若い女性たちも仕事、家庭、趣味と色々忙しいだろうけれど、自分のまちに少し目を向けてみたら、この先もっと楽しい人生になると思います」とお二人。
 さて、昼食会のご案内です。

取材・掲載

コミュニティくさつ123号 2019.12月
「縁あって、同じまち。」より

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